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ブロックチェーン③(コンセンサス・アルゴリズム)

■ブロックチェーンのコンセンサス・アルゴリズム
ブロックチェーン②では、マイナーがビットコインの取引をブロックにまとめて、承認するPoW(Proof of Work)という仕組みを用いているというお話をさせていただきました。

PoWのように、取引の承認を行う仕組みはコンセンサス・アルゴリズムと呼ばれており、PoW以外にもPoS(Proof of Stake)、PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)というアルゴリズムがあります。

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PoSは、PoWのようにマイナーの総当たりの競争ではなく、コインの保有量が大きく、保有期間が長いマイナーが有利になるように設計されています。つまり、実績があるマイナーが有利になるようになっているため、PoWのように10分間も問題を解く必要はなく、PoWより短い時間でブロックの承認を出すことが可能です。そのため、PoWのように、莫大な電力消費をする必要性が低くなり、環境への負荷を低減することができます。しかし、マイナーは承認権限を得やすくするために、コインを多く・長く保有しようとするため、コインの流通が滞ってしまう懸念があり、貨幣としての機能を低めてしまう可能性がある点は留意が必要です。

PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)においては、あらかじめコアノードとアプリノードに役割が分けられています。そして、コアノードにおいて一定割合以上で承認された場合に取引が成立するようになっています。そのため、PoSやPoWのように問題を解く必要がなく、PoSやPoWよりも早く取引の承認を得ることが可能になります。

■パブリック型とプライベート型
PBFTはPoWやPoSと比較すると、ブロックまでの承認時間の短さでも想像できる通り、比較的容易に承認されるようになっています。

これは、PoW/PoSとPBFTでは、コンセンサス・アルゴリズムを適用する用途が異なっているからです。PoW/PoSでは、全世界のインターネットを使用する人がユーザーもしくはマイナーになることができます。この方式をパブリック型と呼んでいます。

他方、PBFTは、企業のような閉じられた範囲で使用することが想定されており、この形態をプライベート型と呼んでいます。プライベート型の場合には、パブリック型のように悪意を持った人による攻撃に対する対策をシビアに講じる必要がありません。そのため、PBFTは、PoW/PoSよりも比較的に短時間で承認を得られるアルゴリズムとなっているのですね。

以上のようにブロックチェーンには、コンセンサス・アルゴリズムとして、PoW、PoS、PBFTのような形式があります。そして、ブロックチェーンがパブリック型なのか、プライベート型なのかによって、適用するアルゴリズムも変わっていきます。

ここまで、技術的なお話が続きましたので、次回はいよいよ、ブロックチェーンは何に使えるのかということを考えていきたいと思います。

[参考文献]
Satoshi Nakamoto. (2008). Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System. https://bitcoin.org/bitcoin.pdf#search=%27Bitcoin%3A+A+PeertoPeer+Electronic+Cash+System%27

岸上順一, 藤村滋, 渡邊大喜, 大橋盛徳, 中平篤. (2017). ブロックチェーン技術入門. 森北出版株式会社

中島真志. (2017). アフター・ビットコイン. 新潮社

(掲載: 2018/05/12)