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選択と集中

■選択と集中とは?
選択と集中とは、自社がリソースを投入する事業を選択して、その事業にリソースを集中することです。1980年代にジャック・ウェルチ氏がCEOであった時代のゼネラル・エレクトリック社は選択と集中を大胆に行いました。同社は世界でNo.1かNo.2以外の事業からは撤退するという方針を掲げて、業界の中でNo.3以下の事業から手を引き、No.1とNo.2に自社のリソースを集中させました。この結果、ジャック・ウェルチ氏は1999年にフォーチュン誌の「20世紀最高の経営者」に選ばれるなど、成長と戦略は同社の成長に一定の貢献を果たしました。この選択と集中は、日本においてはバブル崩壊後の1990年代半以降に注目されることとなりました。

■選択と集中の功罪
選択と集中については、GEのように成果をあげられた例もあれば、シャープのような失敗例もあり、その功罪がある事が認められています。選択と集中のメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。

<メリット>
・自社にとって強みである事業へリソースを集中できるため、当該事業の競争優位性を高めることが可能となる
・自社の強みでない比較的に成果が期待できない事業から撤退するため、費用対効果の低い投資を削減することができる
・強みである事業に集中することにより、企業全体としての収益性の改善効果を見込める

<デメリット>
・代替製品の登場などにより、選択した事業の需要や収益性が下がってしまった場合に、分散していた時よりも収益に対するダメージが大きくなる懸念がある
・撤退した事業がイノベーション等により市場に受入られて高い収益性をあげられるようになった際に恩恵を受けることができない
・事業から撤退する場合には、大規模なリストラを伴う場合もあり、特に長く勤めることを前提としている企業に入社したと思っている社員の士気が低下する懸念がある

このように、選択と集中にはメリット・デメリットがありますので、採用する際にはそれを考慮に入れて、検討を進めていくことが必要となります。また、一つの事業に集中しすぎることは多くの場合事業リスクを増大させる結果となりますので、集中と分散のバランスをはかることが重要になると思います。

なお、スタートアップや規模の小さい企業においては、選択と集中を考慮する必要性はあまりないと思われます。まずは、成長が見込める市場を見出して、その市場で柱となる事業を軌道に乗せることに注力することが妥当です。その上で、その事業が軌道に乗ってきた段階で、アンゾフのマトリクスにあるように顧客や製品をずらすことで事業を拡大していくことで市場や製品を拡大していくことを検討します。そして、ある程度、多角化がなされた段階で選択と集中の検討をする余地が生まれてくるのだと思います。