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ブルー・オーシャン戦略

■ブルー・オーシャン戦略とは?
ブルー・オーシャン戦略とは、INSEADのW・チャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授の著書の中で展開されている戦略です。まず、ビジネスの市場はレッド・オーシャンとブルー・オーシャン二つの市場に分けられています。

レッド・オーシャン
ライバル企業が互いに競い合っている既存の市場
ブルー・オーシャン
ライバル企業が存在せず、正しい戦略と商品を提供することによって、長期の成長と利益を見込める市場

後者のブルー・オーシャンのような魅力的な市場はどのように創り出すことができるのでしょうか。それには、「低コスト化」と「差別化(高付加価値化)」を両立させることが重要だと述べられています。もう少し具体的には、「低コスト化」という観点では「減らす」、「削除する」ことができる要素を探すこと、「差別化」という観点では「増やす」、「追加する」ことができる要素を探すことで、新しい価値、すなわちブルー・オーシャンとなり得る市場を創り出すことができるとしています。

<低コスト化の要素>
減らす: 業界基準から大胆に減らすことができる要素
削除する: 業界常識のうち削除できる要素
<差別化の要素>
増やす: 業界基準から大胆に増やすことが出来る要素
追加する: これまで業界が提供してこなかった新しい要素

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また、ブルー・オーシャン戦略においては、これらの「低コスト化」と「差別化」を検討し、魅力的な市場を創り出さすために参考となる6つの観点についても紹介されています。

①代替産業に学ぶ
・異なる業界のビジネスモデルを自社の製品・サービスに持ち込むことで新しい価値を生み出せる可能性を検討します。
・「保険の窓口」は、複数の保険会社の保険を顧客に紹介して、成約すると手数料が保険会社から「保険の窓口」に支払われるというビジネスモデルです。このビジネスモデルは、実際に参考にしたかは定かではありませんが、不動産屋と同様です。

②業界内の他の戦略グループに学ぶ
・同じ業界の中で業態が異なるグループの特徴を参考にして、新しい価値を生み出せる可能性があります。
・「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」を運営している「俺の株式会社」は、飲食業界にある既存の立ち食い店のスタイルと高級料理店のスタイルをミックスすることにより、低コストで高級料理店の料理を味わえるという全く新しい価値を生み出しました。

③買い手グループに目を向ける
・製品/サービスよっては、利用者、購入者、購入に影響を与えるグループが分かれている場合があり、異なるグループに目を向けることで新しい価値を提供できなか検討します。

④補完財や補完サービスを見渡す
・製品/サービスに機能やサービスを追加することによって、新しい価値を生み出すことを検討します。
・育児スペース付きのショッピングモールは、補完サービスにより、ファミリー世帯に訴求する試みだといえます。

⑤機能志向と感性志向を切り替える
・性能や機能の向上ではなく、利用者の感性に訴えかける、またはその逆により新しい価値を生み出せないか検討します。
・高齢者向けの携帯電話(らくらくホン、簡単ケータイ、みまもりケータイ等)は、余計な機能をそぎ落とすことで、デジタルディバイスにあまりなじみがない高齢者でも使いやすい携帯電話を志向しています。

⑥将来を見通す
・技術の発達や人口動態などを見通して、今後発生すると予測される市場に向けて製品/サービスを作っていきます。
・例えば、スマートフォンの位置情報機能の発達や普及率の高さが相まって、新しいゲームが生まれています。その中でもポケモンGoは世界中で大ヒットとなるほど普及しました。これも、将来を見通した結果と言えるかもしれません。

■ブルー・オーシャン戦略のデメリット
ブルー・オーシャン戦略にはマーケティングの要素が強く、企業が本来持つべき競争力を弱めてしまうのではないかと言う批判もあります。例えば、将来のための地道な研究開発などが疎かになる、競合他社と戦うための営業力などが身につかなくなると言ったことが考えられます。そのため、ブルー・オーシャン戦略を採用する際には、会社が向かうべき方向性を見定めた上で、一つの製品/サービスだけでなく企業として何を活かし、捨てるのかということを明確にして取り組む必要があると思います。

[参考文献]
W・チャン・キム, レネ・モボルニュ(著), 有賀 裕子(訳). (2005). ブルーオーシャン戦略. Harvard business school press.