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属人化

■属人化とは
属人化とは、ある業務を特定の個人が担当し、その個人以外にその業務を遂行できる人がいない状態と定義します。通常、属人化とはネガティブな意味で使うことが多いように感じますが、必ずしも属人化=悪ではなく、むしろ属人化こそが企業の価値の源泉になっている場合もあります。属人化が価値の源泉となる場合は、バリューチェーンの中で、企画、研究・開発、設計、営業といった業務を行う場合です。これらの業務は、通常、マニュアルを整備して業務内容を規定できるようなものではなく、担当者が自身の考えやアイデアに基づいて業務を遂行する必要があり、他の人に代わることのできない独自性が価値となります。
一方で、コールセンターやファーストフードのスタッフ業務などは、マニュアルに表せる業務と言えるかもしれません。また、これらの業務はサービスレベルを一定に保つ必要があります。どの店舗においても誰が行っても同じサービスを提供する必要があるためです。このような場合には、属人化=悪といえるかもしれません。業務が属人化することにより、人によってサービスレベルに違いが出てきますし、人が変わるとサービスレベルが落ちるというような事態が発生してしまうからです。
このように、属人化は組織にとって良い側面もありますが、悪影響を及ぼす場合もあります。

■なぜ属人化は起こるのか
属人化は何故起こるのでしょうか?多くの場合、企業に悪影響を及ぼす場合であっても、企業に不利益をもたらそうとして、属人化が起こっている訳ではありません。むしろ、己の職務に忠実で、一生懸命仕事をする、もしくは職務に固執することによって属人化が発生するのではないでしょうか。属人化は全体最適を考えなければならない経営者と全体最適に思い・考えが至らない担当者との間の視点の違いが一因となり発生します。
極端な例として、IT部門担当者が社内システムを構築し、運用する場合を考えてみましょう。担当者は職務に忠実にシステムを構築しました。しかし、担当者にしか分からないような手順を多く作ってしまい、担当者が休むと障害対応ができない、担当者が辞めると他の人に引き継ぐことができないような状態になってしまいました。これは、経営者からすると大きなリスクとなり、業務が属人化してしまっていると言えることができるでしょう。

■どのように属人化に対処するのか
属人化に対処するためには次の3つのステップが必要となります。
ステップ1: 属人化レベルの定義
その業務がどの程度まで、属人的であるべきなのか、それとも形式知化すべきなのかを明確にします。IT部門担当者の例では、ただシステムを構築するだけでなく他の人でも保守運用できる状態、他の人に引き継げる状態にすることが必要です。

ステップ2: 業務要件の明確化
経営者、全体最適の観点からのその業務に求めることを明確にします。IT部門担当者の例では、システムを単に構築するだけでなく、他の人が保守運用できるように、他の人へ引き継げるように業務要件を予め決めておく必要があります。

ステップ3: 業務要件の周知
業務要件を担当者に伝えます。IT部門担当者の例の場合、他の人が保守運用できること、他の人へ引き継ぐことが求められていることを伝えるようにします。また、伝えるだけでなく、時にはインセンティブやペナルティーを設定して、属人化から脱却を図る必要があります。

最後に余談となりますが、これから情報技術が更に発展していくと、マニュアル化できるような仕事は、機械にやらせたり、アウトソースしたりして、企業の中から消えていくことが予想されます。一方で企業にとってコアな仕事は、アイデアを考えたり、創造性を発揮したり、人とのコミュニケーションを上手に取るようなマニュアルには落とし込めないような仕事になっていきます。つまり、コアな仕事であればあるほど、属人化しやすくなっていくことでしょう。このようなときに、経営者として、どのように組織をマネジメントするかは、2点に集約されるはずです。一つ目は、社員に対して如何にして全体最適の視点を持たせるような目標を設定し、自発的行動を促せるか、二つ目は如何にしてそのような社員を組織に引きつけることができるかです。