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公平感・納得感の醸成

■公平感・納得感がなぜ必要なのか?
M&Aの後の企業統合や組織変革のプロセスにおいて、必ず現れてくるのが抵抗勢力で、統合や変革を進める上で障害となってしまいます。この抵抗勢力をできる限り少なくして、変化を前向きに受け入れるメンバーを多くすることが統合、変革の成功に向けて重要となってきます。

どのようにすれば抵抗勢力を少なくできるのでしょうか?

これに答えるためには、人はなぜ物事に抵抗するのかを理解することが有効だと思います。

意思決定に対して、人が抵抗感を感じるのは、特定の組織やヒトが得をして、自分は損を被る立場にあると感じるような時ではないでしょうか。もしくは、意思決定が密室で行われ、自分達には選択の余地がないと感じるようなときではないでしょうか。

つまり、意思決定に対して不公平だなと感じることが一因となり、抵抗勢力となってしまうのだと思います。

そのため、組織変革のような、大きな変化を起こすときには、公平な過程を経て意思決定がなされることが求められます。少なくとも、そう受け取ってもらえる必要があると思います。

■公平感・納得感の醸成方法
意思決定にかかわる人々が公平感を持って、意思決定を受け入れることが出来るようになるためには、3つのポイントがあります。

①巻き込むこと
②説明すること
③期待値を伝えること

①巻き込むこと
これは、意思決定をする際になるべく多くの人、もしくは重要な人物を巻き込むことが重要であることを意味しています。

例えば、なるべく意思決定の場に参加してもらい、意見を言ってもらうようにすること等が含まれます。

人は巻き込まれることによって、意思決定に対して疎外感を感じずに当事者意識を持つことが出来ますので、やらされている感が少なくなり、逆に積極的にその意思決定を後押ししてくれる立場になるかもしれません。

②説明すること
次に意思決定がなされた背景や理由を明らかにして、関係者に説明することが重要です。

なぜ変革をしようとしているのか、どのように変わろうとしているのかを説明することにより、一部の組織やヒトを利するための変革ではなく、企業全体を活性化するために必要なことなのだと理解してもらえるため、公平感が強まることになります。

このことにより、理由も分からずに変革が進められることに比べると抵抗感はずっと小さくなっていきます。

③期待値を伝えること
3つ目に必要なことは、意思決定により、関係者に何を期待するのかを明確にすることです。

変革の意思決定に関係する人は少なからず変化や行動をすることを求められます。

そのため、何をして欲しいのかということを明確に伝えることにより、関係者が動きやすくなりますし、また協力も得られやすくなります。

このように、①巻き込むこと、②説明すること、③期待値を伝えることによって、組織の人々は公平感・納得感を持って、意思決定を受け入れることができるようになります。結果として、抵抗勢力の力は弱まり、変革や統合が前に進んでいくようになります。

[参考文献]
W. C. Kim and R. Mauborgne., (2003). Fair Process: Managing in the Knowledge Economy. Harvard Business Review.