インターネットとマーケティング
■インターネットの影響
インターネット登場の前後で起こった、最も大きな変化の一つとして現在進行形であげられることとして、広告の在り方が変わった点だと思います。
インターネット登場前は、一般消費者にとってTV、ラジオ、新聞、雑誌の4大マスメディアによって提供される広告の影響力は絶大でした。
インターネット登場後もこれらのマスメディアの威力は大きいことには違いないのですが、過去と比べるとその威力が弱まってきています。
なぜ、マスメディアの威力は弱まったのでしょうか?
その本質的な理由を考えるうえで、佐藤尚之氏が著書(参考文献参照)の中で述べている、氏がインターネットに取り組もうとした3つの理由が参考になります。
①有史以来初めて一般消費者が世の中に発信できるメディアを持った
②情報が距離や国境を越えてスピーディーに飛び交い、常に更新される
③ヨコにつながった消費者がマスメディアに対抗する手段を持った
もう少し具体的にこの3つの内容を考えてみましょう。
■インターネット活用の3つの理由
①有史以来初めて一般消費者が世の中に発信できるメディアを持った
これは、ブログ、ホームページ、YouTubeによる情報発信を一般消費者が行えるようになったことを意味しています。
かつて、情報発信を行える人は、TVやラジオに出ている一部の芸能人、コメンテーターや、書籍や広告を通じた作家やコピーライターなど限られた人だけでした。
しかし、現在は、インターネットの環境がありさえすればすべての人が情報発信を行えるようになっています。
②情報が距離や国境を越えてスピーディーに飛び交い、常に更新される
発信した情報は一瞬で世界中の人が閲覧できる状態となります。
当然、日本語で情報発信をしていれば、日本国内が中心となりますが、それでも日本国内に一瞬で情報が発信されます。
例えば、窓の雪景色を見ながら北海道で発信した情報が、一瞬で沖縄の民家の縁側で半そで涼んでいる人が閲覧できる状態になっているということです。
③ヨコにつながった消費者がマスメディアに対抗する手段を持った
一般の消費者が発信できるようになった情報が一瞬で世界にいきわたるようになった結果として、消費者同士のヨコのつながりがマスメディアに対抗できるまで影響力を高めることになりました。
例えば、マスメディアが提示する情報ではなく口コミサイトによる消費者の生の声により購入の意思決定をする、SNS上の知り合いの声によって購入を決める、ユーチューバーのような影響力のある人の発言により購入を決める等の消費者同士のヨコのつながりが、購入の意思決定に大きな影響を及ぼすようになっています。
■まとめ
以上のように、インターネット登場後にマスメディアによる広告の威力が弱まった本質的な理由は、インターネットにより消費者がヨコのつながりを強くし、マスメディアからのトップダウンの情報を昔ほど簡単に受け入れなくなったためだということができるのかもしれません。
今後、ビジネスにおいて製品やサービスを購入してもらうことを考えるときには、このインターネット登場によって変わった消費者のヨコのつながりや購入にいたる意思決定の仕方を十分に考慮する必要があるのだと思います。
[参考文献]
佐藤尚之(著). (2008). 明日の広告. アスキー新書.