需要の価格弾力性
■価格弾力性とは何か?
通常、同一製品や同一サービスにおいては、価格が安ければ需要量は多くなり、価格が高ければ需要量は少なくなります。つまり、価格と需要量はトレードオフの関係にあります。この価格の変動によって、需要がどの程度変動するのかを示した指標が「需要の価格弾力性」と言われており、下記の式で表されます。
需要の価格弾力性 = 需要量の%変化 / 価格の%変化
需要量の%変化 = 需要量の変化 / 当初の需要量 × 100
価格の%変化 = 価格の変化 / 当初の価格 × 100
価格弾力性が1を超えると弾性的、1未満の場合に非弾力的であるというような言い方がされます。価格弾力性が1を超える弾性的な場合には、価格の変動に応じて需要量も変動しやすく、贅沢品や代替品があるようなケースが当てはまりやすくなります。一方で、価格弾力性が1未満の非弾性的な場合には、価格が変化しても比較的に需要が変化しにくく、生活必需品や代替品が無いようなケースに当てはまりやすくなります。
■価格弾力性の例
価格弾力性について以下のような例で考えてみましょう。
<例題>
あるスーパーでは、キャベツの価格が200円のときの需要量が1,000玉で、価格300円のときの需要量が700玉になるとしましょう。このときの需要の価格弾性値はいくらになるでしょうか。
<回答>
需要量の%変化 = (700-1000) / 1000 × 100 = -30
価格の%変化 = (300-200) / 200 × 100 = 50
需要の価格弾力性 = -30 / 50 = -0.6
この場合の需要の価格弾力性は0.6です。
■価格弾力性は何に使うのか?
価格弾力性は、価格設定の際や売価コントロールの際などの考慮事項となります。
<価格設定の際の考慮事項>
価格の設定変更を検討する際に、価格弾力性が小さい製品・サービスの場合には、値上げをしても需要量の落ち込みは比較的に小さいと言えます。このようなケースでは、多少強気の価格設定も可能となってくるかもしれません。他方、価格弾力性が大きい製品・サービスの場合には、値上げすることにより大幅に需要量が減少する懸念がありますので留意が必要となります。
<売価コントロールの際の考慮事項>
値下げキャンペーンなどを検討する際に、価格弾力性が大きい製品・サービスであれば、値下げすることにより、需要量が増していくことが期待できます。他方、価格弾力性が小さい製品・サービスでは、値下げキャンペーンをしてもあまり、需要量が増えず単に売上高が減少しただけという結果になることも考えられます。
このように、価格設定や売価コントロールをするような場合には、価格弾力性を考慮に入れて、検討を進めることが有用となります。