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人事部の3つの機能

■人事部の3つの機能とは?
企業の中で人事部とは何をする部署なのでしょうか?

人事部の活動は、バリューチェーンでいうところの製造部や営業部のような主活動をサーポートする、経理部や総務部と同様の支援活動だということができます。

しかし、人事評価や採用を担っている部署だということは当然のこととして、その本来の目的について把握している人は少ないように思います。

ここでは、参考文献にある「新しい人事労務管理(2007)」という書籍で定義されている、人事労務管理の3つの機能に従って、人事部の目的・ミッションについて考えてみたいと思います。

同書で定義されている人事労務管理の3つの機能は以下の通りです。

①企業の労働サービス需要の充足
②労働者の就業ニーズの充足
③労使関係の調整と安定維持

一つ一つの機能について、考えてみたいと思います。

①企業の労働サービス需要の充足
まず、一つ目は、企業が必要とする労働サービス需要を満たす機能です。通常、企業は事業目的を達成するために必要となる労働サービスを必要なときに必要な量だけ合理的に提供されることを求めています。

具体的には、企業が必要とする人材を採用することから始まり、必要な部署への人材配置のコーディネート等も含まれています。

②労働者の就業ニーズの充足
次の機能として、労働者側のニーズへの対応があげられます。これは、労働の対価として労働者に支払われる報酬内容(広義の労働条件)を把握し、合理的な充実をはかることです。

③労使関係の調整と安定維持
3点目の人事部の機能として、労働資源の活用の仕方と報酬内容に関して、労働者個人や労働組合等の集団が要求する内容と企業側が提供可能な内容の間に妥結点を見出せるようにコーディネートをすることがあげられます。

この中には、労使関係の利害調整や対立解消を行うことも期待され、「①企業の労働サービス需要の充足」と「②労働者の就業ニーズの充足」が適切になされることの前提条件として、「③労使関係の調整と安定維持」が必要になっているという側面があります。

■まとめ
以上のように、人事労務管理の機能として、「①企業の労働サービス需要の充足」、「②労働者の就業ニーズの充足」、「③労使関係の調整と安定維持」の3つがあげられます。

更に噛み砕いて、非常に簡潔に人事部の役割をまとめると、企業と労働者の双方のニーズ・要求を理解して、双方の妥結点を見出すためのコーディネーターや仲介役であるということがいえるのかもしれません。

また、人事機能は、規模が小さな企業では経営者が担っており、部門として確立されていないこともあります。

しかし、一定程度以上に企業が成長してくると、経営者が全てをコーディネートすることが難しくなりますので、兼務であったとしても人事担当者や人事部が必要となるタイミングやってきます。

[参考文献]
佐藤博樹, 藤村博之, 八代充史(著). (2007). 新しい人事労務管理 第3版. 有斐閣アルマ.