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暗黙知と形式知

■暗黙知と形式知とは?
暗黙知と形式知とは、組織の中の知識や情報のあり方について述べられたものです。暗黙知とは、個人の中に閉じており、且つ言語化されて他の人に伝えられない・伝えていない知識・情報です。例えば、町工場で職人が手作業で金属部品を加工・製造しているような場合、製造方法やノウハウは言葉で伝えられるような内容ではなく、経験や感覚からしか習得できないケースが暗黙知となっている状態と言えます。
他方、形式知とは、仕事や作業が言葉で伝えることが出来て、マニュアル・ドキュメント化されているような知識や情報です。アウトソーシング出来るような事務作業は形式知化されている作業の典型です。また、ファーストフード店のオペレーションなども誰がやっても同じサービスレベルとなるように形式知化されていると言えます。
このように、組織の中の知識・情報には大きく暗黙知と形式知と呼ばれる形態があります。

■中小企業における暗黙知と形式知
中小企業において、暗黙知や形式知の考え方はどのように適用できるでしょうか?暗黙知と形式知という観点では大きく2つのことを考えていく必要があると思います。一つ目は「仕事が暗黙知化されるべきか形式知されるべきかの振り分け」、二つ目は「暗黙知からの脱却」です。

①仕事が暗黙知化されるべきか形式知されるべきかの振り分け
まず、暗黙知化するべき仕事と形式知化するべき仕事を分ける必要あります。基本的に仕事は誰が行っても同じ結果が得られるように形式知化されている状態が経営にとっては好ましいのではないでしょうか。これは、従業員が会社を辞めてしまったときに替わりの要員がすぐにカバーするためには、仕事ができるだけ形式知化されている方が好ましいからです。
他方、先ほどの職人による部品の製造のようにどうしても形式知化できずに、一子相伝で後輩・部下に伝えてくべき技のような仕事も存在します。このような希少価値の高い暗黙知は、企業の競争力の源泉になる場合もあります。
このように企業の仕事には、暗黙知化されるべき仕事と形式知化しておくべき仕事があるということ認識しておくことが必要で、何もかも形式知化すればと良いというものではりません。

②悪しき暗黙知からの脱却
既に述べたように企業には暗黙知が必要な仕事があり、それは企業の競争力の源泉となるような貴重な知識・情報といえます。何から何まで形式知かされていれば良いというものではありません。しかし、企業においては、形式知化すべき仕事が暗黙知化されてしまっているような場合があります。例えば、ITシステムの構築や保守運用などにおいて、複雑なシステムを構築してしまい、担当者でしか運用管理できないようなケースです。この場合、担当者が辞めたら仕事が止まってしまう、その担当者が休日も対応しなくてはならいというような企業にとってリスクを抱えることになります。リスクを低減するためには、形式知化すべき仕事は極力形式知化してくことで、その業務を他の要員でも代替できるようにしておくことが必要になってきます。