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組織構造を定義する六つの要素(②部門化)

■部門化とは
組織構造を定義する六つの要素の中で、部門化について考えてみたいと思います。組織は部門化することにより、共通するタスクを纏めることができるようになり、組織として、効率的な運営が可能となります。

①職務の専門化
②部門化
③指揮命令系統
④管理の範囲
⑤中央集権化および分権化
⑥公式化

部門化に際しては、三つの切り口があります。A) 職務分化による切り口、B) 地域による切り口、C) 顧客分類による切り口です。A)の職務分化による切り口は、組織構造を定義する六つの要素の①職務の専門化によって、分化されたグループによる部門化のことです。職務分化による部門化においては、研究開発部、製造部、マーケティング部、営業部、経理部、人事部等のようにバリューチェーンの構成要素に近い形で部門がつくられていきます。
B)地域による部門化においては、地理的な区分によって、部門が形作られます。国内でしたら、東日本、西日本といった区分け、北海道、東北、関東、北陸、近畿、中国、四国、九州といった地方ごとの区分け、もしくは県ごとの区分けなど営業体制の規模やどのレベルまで管理が必要なのかによって、部門が決定されていきます。また、海外展開をしている企業などでは、国ごとやアジア、ヨーロッパー、北米、南米、アフリカ等の区分けによって、部門が形作られることもあります。
三つ目のC)顧客分類による切り口とは、顧客をカテゴライズして、その顧客を担当する組織ごとに部門化することです。営業部などは、顧客分類によって、部門が分けられることも多いかもしれません。例えば、一般顧客と法人顧客による切り口が考えられます。これは、営業において、一般顧客と法人顧客でアプローチの仕方異なってくるためです。そのため、部門を分けた方が、従業員への教育、情報共有、管理の面で効率が良くなります。また、顧客分類による切り口では、顧客の業界ごとに営業部門が分けられていることもあります。自動車業界、半導体業界、消費財等の業界単位で共通する知識やアプローチの方法がある場合に部門化がなされていきます。
このように、A) 職務分化、B) 地域、C) 顧客分類の三つの切り口により、部門が形作られていきます。

■部門化はどのようになされるのか
大企業の場合には、上記の三つの切り口の全ての要素を踏まえて、部門がつくられていることもあります。グローバル企業においては、地域ごとに部門がつくられており、その中の一つの日本部門において、職務分化によって、営業、製造、経理、人事の部門が形成されており、更に営業が法人顧客と一般顧客で分けられていくようなケースがあります。
一方で、中堅・中小企業の場合には、三つが全て含まれているようなケースはまれで、職務分化による部門化のみというケースもあるかと思います。このように、部門を検討する際には、必ずしも三つの切り口すべて使わなくてはならないということではありません。組織の規模やどのように管理を行っていくかという目的に照らし合わせて、部門の定義の仕方が決まっていきます。

[参考文献]
スティーブン P. ロビンス (著), 高木 晴夫(訳) (2009). 組織行動のマネジメント. ダイヤモンド社.