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コッター教授の組織変革のための8つのプロセス(⑥短期的成果を実現する)

■短期的成果を実現する
組織変革のための8つのプロセスの六つ目である「⑥短期的成果を実現する」ことについて考えてみたいと思います。

①危機意識を高める
②変革推進のための連帯チームを築く
③ビジョンと戦略を生み出す
④変革のためのビジョンを周知徹底する
⑤従業員の自発を促す
⑥短期的成果を実現する
⑦成果を生かして、さらなる変革を推進する
⑧新しい方法を企業文化に定着させる

■なぜ、「⑥短期的成果を実現する」ことが必要なのか?
大がかりな組織改革をする際には、短期的成果を実現することが有効です。短期的成果を上げることによって、3つの効果があると考えます。一つ目は、小さくても目に見える成果が上がることによって、変革の効果や目指すべき将来の姿が明確になります。そのことによって、変革に懐疑的あった社員に変革の必要性を理解してもらうことができるようになり、社員の自発性を促すことが期待できます。
二つ目は、短期的成果をあげるために、具体的に計画し、実行することによって、改善点や課題などが明確になります。そのことによって、更なる成果に向けて、より効果的に活動ができるようになります。
三つ目は、短期的効果の実現に向けた活動の場合には、段階的に変革を進めることが可能となります。一度に大きな効果を得ようとする場合、大きなリソースを費やすことによって、プロジェクトが失敗に終わった場合に、損失も大きくなります。一方で、短期的効果を目指す場合には、費やすリソースが限られていますので、例え失敗をしたとしても傷が小さくて済みますし、方向転換も可能になります。

■どのように、「⑥短期的成果を実現する」のか?
短期的成果を実現するためには、取り組む対象を絞る必要があります。例えば、全国に支社があり、全国の支店の営業組織の変革をする場合には、まずは、一つの支社に絞って、短期的な成果を得ることによって、取り組む対象範囲を絞ることができます。更に、はじめに、短期的な成果を上げる場合には、社内のリソースを集中して取り組む必要があります。一点突破、全面展開という言葉がありますが、一つの支社で成功した方法論を他の支社へ横展開するときには、より効率的に変革を進めることが可能になります。
このように、短期的成果を上げるためには、取り組む範囲とリソースを集中することが効果的です。

[参考文献]
ジョン・P. コッター(著), 梅津 祐良 (翻訳) (2002). 企業変革力. 日経PB社, P195-216.