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コッター教授の組織変革のための8つのプロセス(⑤従業員の自発を促す)

■従業員の自発を促す
組織変革のための8つのプロセスの五つ目である「⑤従業員の自発を促す」ことについて考えてみたいと思います。

①危機意識を高める
②変革推進のための連帯チームを築く
③ビジョンと戦略を生み出す
④変革のためのビジョンを周知徹底する
⑤従業員の自発を促す
⑥短期的成果を実現する
⑦成果を生かして、さらなる変革を推進する
⑧新しい方法を企業文化に定着させる

■なぜ、「⑤従業員の自発を促す」ことが必要なのか?
組織変革のプロセスを進めるためには、従業員の自発性を促す必要があります。人間誰しもやらされていることに対しては、前向きに取り組むことはできません。一方で、自発的にやろうと思ったことに対しては、モチベーションを維持し、良い成果をあげられる可能性が高まります。
また、組織が数十名以上の規模なってきますと、経営者が1人で変革プロセスの1から10まで全てをこなすことは、不可能となってきます。そのため、社員1人1人が自発性を持って取り組むということが組織変革を成功に導くために求められます。

■どのように、「⑤従業員の自発を促す」のか?
従業員の自発を促すためには、人事制度を整える、教育を行う、権限を委譲する等の方策が考えられます。
人事制度に関しては、組織変革を実行することが奨励されるような制度を構築することが必要となります。例えば、ビジョンを達成するために従業員が実施すべき事柄を評価項目に折り込み、社員の自発的な行動に対するインセンティブを与えることが考えられます。また、社内のキャリアゴールやキャリアパスを変革のビジョンや戦略と整合させることも一つの方法として考えられます。
教育に関しては、ビジョンの周知徹底や、戦略を実行するために必要なスキル・ナレッジの構築支援を行い、社員が自発的に動けるようにサポートすることが考えられます。また、自発的な行動を奨励するような、成功事例の紹介等も教育活動の一環と考えられます。
権限を委譲することに関しては、経営者が孤軍奮闘するだけでなく、経営者以外の従業員がリーダー的なポジションを含めて、組織変革を主導していけるように、権限を委譲していくことが必要となります。その際に役割と責任を明確にして、従業員に委譲していく必要があります。また丸投げとならないように、経営者/エグゼクティブが委譲したタスクの遂行度合いをチェックできるように、KPI(重要管理指標)を明確にすることも必要になってきます。

[参考文献]
ジョン・P. コッター(著), 梅津 祐良 (翻訳) (2002). 企業変革力. 日経PB社, P171-194.