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定年制(60歳プラスα、65歳マイナスβ、エイジフリー)

■定年制とは?
現在の日本人の多くは60歳過ぎくらいに、定年を迎えて現役引退だなと考える人が多いのではないでしょうか。

「新しい人事労務管理(参考文献)」においては、定年制を従業員が一定の年齢に達したときに自動的かつ無差別的に雇用関係を終了させる仕組みと定義しています。

2001年4月から高齢厚生年金の支給開始年齢引き上げが開始されましたが、少子高齢化の人口動態を考えると、年金の支給開始年齢は、将来も更に引き上げられていくものと考えられます。

このことが、60歳代前半の従業員の働き方を変えていくことになると予想されます。

「新しい人事労務管理(参考文献)」において論じられている定年の考え方として、①60歳プラスα、②65歳マイナスβ、③エイジフリーの3つがあります。

①60歳プラスα
60歳定年を維持したまま、65歳までの雇用継続に向けてαを5年に近づける
(αは勤務延長制度や再雇用制度等による雇用継続)

②65歳マイナスβ
65歳に定年を引き上げて、個々人がβを選択して引退年齢を決める

③エイジフリー
定年年齢を廃止して、年齢に関係なく働ける会社を目指す

2001年に行われた「雇用管理調査」においては、60歳プラスα方式が60.9%、65歳マイナスβ方式が6.7%、エイジフリー方式が8.7%となっており、60歳プラスα方式が主流となっています。

これは、65歳マイナスβ方式やエイジフリー方式に移行するには、若年層の賃金制度も含めた人事制度の抜本的な改革が必要になることから、現行人事制度から大きな変更のない60歳プラスα方式を採用する企業が多いことが一因にあげられるようです。

■エイジフリーに向けて
繰り返しになりますが、少子高齢化が益々進む状況の中で、年金の支給開始年齢が引き上げられていくことが予想されます。

また、日本企業は定年制を保持している企業が多いですが、アメリカやヨーロッパではほとんどみられない仕組みだそうです。

この二つを考えたときに、定年の年齢を引き上げるか、定年制を廃止するかという流れは、止められないように思います。

また、定年年齢の移行を検討する企業は、①60歳プラスα方式から②65歳マイナスβ方式に移行するのではなく、③エイジフリーへと舵を切る企業が多くなるように思います。

理由は、定年の年齢を変更するには、人事制度の抜本的な見直しが必要となるため、段階的に年齢を引き上げていくよりは、エイジフリーとしてまった方が、人事制度の度重なる変更を避けることができると思われるためです。

個人的には、将来を見据えてエイジフリーに移行していった方が、人口減少の時代に経験豊富な従業員を雇用できるというメリットを考えると良いように思います。

ただし、エイジフリーにするということは、定年までは雇用を保証するという終身雇用を完全に覆すことになりますので、そのことに対する従業員への影響や企業のイメージについて留意することが必要となってきます。

[参考文献]
佐藤博樹, 藤村博之, 八代充史(著). (2007). 新しい人事労務管理 第3版. 有斐閣アルマ.